愚慫空論

『オーバーフェンス』

映画の話です



タイトルは「オーバーフェンス」

小説の原作がある映画だそうですが
まあ 別にいいでしょう
そのあたりは

家庭を壊してバツイチになった男 白石(オダギリジョー)
なにゆえにか壊れている女 聡(蒼井優)

このふたりのラブストーリーと言っていいんでしょうかね
でも だとしたら「フェンス」って何なんだろう?


舞台は函館
なんでも「函館三部作」の最終作なんだそうです
原作を書いた小説家 佐藤泰志さんというんだそうですが
その人が函館出身とかで


以下は 若干ネタバレありなので 追記へ



白石は職業訓練校に通い 失業保険で食いつないでいます
聡は 水商売の女です
キャバクラっていうんですか?

職業訓練校の描写に多く時間が割かれています
有り体に言って 社会の「底辺」です
もう少し落ちれば青カンになることができる(?)というあたりでしょうか

それぞれに事情を抱えた人が集まっています
さすがに年寄りはいませんが 若者からいい年のオッサンまでいます
白石は40代前半? 年齢層でいえば真ん中のちょい上あたりか
オダギリジョーはもっと若く見えるけど...


「底辺」の描写に時間が割かれているのは そこを描写したかったからでしょう
白石も聡も 「底辺」に所属する雑多な人間のひとりなんだと

なかでも時間が割かれているのは いじめの描写
教師と一部生徒が結託して 攻撃対象を選定す いじめる
ストーリーの本筋とは交わってこない「風景」なんですが
こういうところに力を入れるのは「底辺」感を出したかったからなんでしょう


が そうした背景の意味は 映画を観ている最中にはピンとは来ませんでした
後から思い返して きっとそうなんだろうと推測してみるという感じ

「底辺」の描写のつもりなんだろうけれど 映画にはあまりその感じがない
それはおそらく 主人公のふたりが美男美女だからでしょう
訓練校の同期は「底辺」らしく醜男が配されていましたが
それが余計に主人公ふたりが浮き上がらせる

どうしても「特別なふたり」という印象になってしまいます


この映画の見所は やっぱり「特別なふたり」です



一筋縄ではいかないロマンスですが
「壊れたふたり」なんだから 一筋縄ではないのは当然の成り行きだし
一筋縄ではない振幅の大きさ 豊かさが監督や俳優にはみせどころ
視聴者にとってはみどころ

なんだかんだ言っても オダギリジョーと蒼井優を観るための映画だということです



「フェンス」が意味するところは やはり「底辺」なんだろうと思います
自身を「底辺」だと自ら規定してしまうこと
自身による自身への桎梏を超えることが「オーバーフェンス」

ふたりは「壊れている」のではないんです
「壊されてしまった」んです
「壊れている」と思い込むことが「底辺」だし桎梏です

ふたりが呪縛を超えていく人間ドラマ
映画全体で表出したかったのは ここなんだろうと思います


それは「特別なふたり」に関しては 上手く出ていたと思います
だけど 全体としては くすんだ感じになってしまっている
時間を割いた「底辺」の描写が足を引っ張っているんです


この映画が描写する「底辺」は いじめといった負の側面ばかりではありません
ほのぼのと温かい 庶民的というのが相応しいような断片も登場してきます

「底辺」というのは 料理に喩えれば おでん なんだろうと思うんです
その面だけをみれば それはそれでそれなりによく出来ている

ただ「特別なふたり」の特別な料理との相性は よくない


おでんに肉を入れるなら牛スジでしょう
ロースやヒレやサーロインは似合いません
魚介類なら タコ串はいいでしょうけど アワビはもったいない

オダギリジョーや蒼井優は ロースやアワビなんです
だから せっかくのおでんが台無しになってしまった
せめて 大根や玉子くらいの素材でないと
職業訓練校という鍋に集った
ちくわやがんも こんにゃくたちが「不味いもの」になってしまいます

せっかくのロースやアワビだって おでんの具材にしてしまったのでは
その美味しさが活きてきません


蒼井優はわりに平板な顔の造りから浮き上がってくる表情が魅力的
「壊れた」感もよく出ていたと思います
オダギリジョーも抑えた演技で いろいろと「諦めてしまった」感がよく出ていた

でも やっぱり特別なんですよ このふたりは
だからフェンスをオーバーするの「既定路線」みたいになってしまって
特別な感慨が湧かない

 「まあ、そうなるよね、予定どおりだね」

で終わり....


主演女優が安藤サクラあたりだったら...
安藤サクラとペアをくんで面白いのはだれかな?

そんな想像をしてしまいました



他人のチョイスで観る機会があった映画なので
せっかくだからと思って書き始めてましたが
ケチをつけけただけで終わってしまいました

書かなかったほうがよかったかもしれませんね (^_^;)

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