愚慫空論

『バグダッド・カフェ』





この映画を鑑賞するのは二度目です。

一度目に観たのは二十歳のころ。
『バグダッド・カフェ』の制作は1987年だとありますから、勘定が合います。

どんな理由でこの映画を観たのかは思い出せません。
暇つぶしで入った映画館でたまたまやっていたというだけのような気がします。

観た場所はなんとなく覚えているんです。
たしか大毎地下劇場という、リバイバル上映専門の映画館。
大阪梅田の毎日会館という建物の地下にありました。


先日、月一で参加しているとある映画鑑賞会で
オマエが観たい映画をチョイスしろと言われて、この映画が思い浮かんだんですね。

思い浮かんだのは他にもありまして。





どれもアメリカがまだ輝いて見えていた時代のものですね。
ベトナム戦争関連の映画が多数制作される一方で、
ここに挙げたような、「しあわせな映画」も作られていた。

そう、幸せな映画を観てみたかったんです。

若き日のトム・ハンクス主演の『ビッグ』は、いうなれば、子どものしあわせ。
名作かどうかはさておき、アメリカンな楽しさ抜群の『ブルース・ブラザース』は、青年のしあわせ。

となれば、『バグダッド・カフェ』は、大人のしあわせ。
そう、大人のしあわせ。

大人のしあわせって、なに?


『バグダッド・カフェ』は良い映画です。
なんとなく、良い映画。
どんなふうに良いかを言い当てるのが難しい。

しあわせってものがそういうものです。
とくに大人のしあわせは。

子どもならば、「子どもらしい」という言葉にそのまま「しあわせ」という感触がある。
青年でも、「青春」といえば、多少苦さや酸っぱさは混じるものの、「しあわせ」の感触がある。
ところが大人は、大人としあわせは、一筋縄ではないかない。
「家族」とか「仲間」といったようなコミュニティを一枚噛ませないといけない。

『バグダッド・カフェ』は、大人のしあわせに不可欠に絡むコミュニティのありようを映し出した映画。


ラスベガス近辺という舞台設定なのでしょう。
黒人夫婦が経営するバグダッド・カフェという名の、これは日本語でなんて言えばいいんだろう?
ガソリンスタンドがあって、アルコールやコーヒーや軽食を出す店があって、モーテルもある。
トレーラーハウスに住んでいる人や、キャンプをする人もいる。
雑多な人たちが、なんとなく集まる場所。

そんな場所が、なにゆえ「バグダッド」なのかは不明。
同じように、なんとなく集まっている人が、どういう理由でそこのいるのかも不明。
最後まで不明。

理由など、どうでもいい。
ただ、「そこにいる」ということが大切。

そのバグダッド・カフェの主人が、ブレンダという名の黒人女性。
夫がいて、いい人みたいだけど、不精者。

バグダッド・カフェを切り盛りするブレンダには、暮らしの垢とでも言えばいいのかな? 
暮らしを成り立たせていく上での負荷を、一身に背負っている。
夫を筆頭に、場のみんながブレンダに寄りかかり甘えていて、
だから、ブレンダはいつも不機嫌。
だから、バグダッド・カフェも不機嫌な場所。
不機嫌な場所なのに、そこはスルーして、それぞれ好き勝手にやっている。


ブレンダの不機嫌から募ったイライラが爆発して、不精者の夫を追い出すしたところに、
これまた夫婦げんかで夫に置き去りにされたドイツ人女性がやって来る。

この夫婦げんかの理由も不明。
ただ、とにかくやって来る。

この女性、ドイツだからドイツの名前があるんだけど、そんなのもどうでもよくて、
バグダッド・カフェでは「ジャスミン」という名前になる。

このジャスミンが、ブレンダの「垢」を落としてやる。
きれいさっぱり洗い流すというのではなくて、半分か、三割か、
そのあたりの加減は不明だけど、
とにかく、いくぶん「垢」を落としてもらったブレンダは元気になって、
バグダッド・カフェというコミュニティが上機嫌な場になっていく。


大人って要するに「人間」です。
コミュニティを構成するメンバー。
構成しているんだから、責任が当然、ある。
責任を負うからこそ、大人。

コミュニティを構成する大人が、その人なりにその責任を負担する。
大切なのは「その人なり」ということ。
なんとなく、その人なりに。

「その人なり」がそれなりにうまく機能して、それなりにコミュニティが機能する。
「それなり」で、なぜかコミュティは上機嫌でしあわせな場になる。

そうしたコミュニティのしあわせに参画するのが、おそらくは大人のしあわせというやつ。

コメント

『バグダッド・カフェ』、懐かしい。 (^o^)

僕も当時 映画館で観ました。
「Calling You」だけは頭に響きますが、内容をほとんど覚えてません。 (^_^;)

おお、ご覧になってましたか ^_^

『バグダッド・カフェ』で『Calling You』が残っていれば、十分なのでは?

ですけど、観返してみる価値のある映画だと思います。
ぜひ。

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