愚慫空論

『マダム・イン・ニューヨーク』

引き続き内田樹礼賛記事を書くつもりだったのですけど、脈絡なく映画の話を。
『マダム・イン・ニューヨーク』です。
グーグルビデオにあったので、つい見てしまいました。
とても気持ちのいい映画でした。

この映画の気持ちよさの半分、いや、7割かな? 主演女優(シュリデヴィ)のお手柄です。(異論は認めません!)



上は初登場のシーンのスクリーン・ショットなんですけどね。
ぱっと振り返りつつ登場という、ありがちな手法なんですが、その吸引力はありきたりではありませんでした...。瞳の魅惑的なこと。

魅惑的なのはお顔の作りだけではないんです。
立ち居振る舞いも、とても魅惑的。
感受性豊かで、かつ、芯が通っていて。
インド映画といえばダンスなわけで、ということはシュリデヴィだって踊りは上手なはずで、この映画の中でも彼女のダンスはちらと出てくるんだけど、彼女の立ち振る舞いの芯はたぶんにダンスからきているんだろうなと想像したりします。とても柔軟で素直な身体をしているように感じられました。

そうした全身の印象が、これまたストーリーとピッタリ。
この映画のキーワードは“ジャッジメンタル Judgemental”――偏見、決めつけ――なんですけれど、周囲、特に家族のJudgementalに敏感に反応して傷つきながら、でも、頑なになったり流されたりせずに、自身の身体が欲する方へしっかりと歩みを進める。
その様がまったく自然で、見ていてとても気持ちがよかったです。

ストーリーもよくできていたと思います。
クライマックスは主役シャシ(シュリデヴィ)の英語でのスピーチなんですけれど、で、この内容は感動的なんだけど、話の筋からすると嘘。
「家族はあなたをあるがままに受け入れます」というんだけど、シャシにJudgementalするのは家族です。そうやって傷ついた自信をなくしたシャシに、自信を取り戻させたのは英語をともに学んだ友人たちです。

けどね、話の筋からすると嘘なんだけど、シャシからすると嘘じゃない。「あなたをあるがままに受け入れます」というのは、シャシの決意なんです。傷つけられて自信を失って忘れかけたけど、友人たちのおかげで自信を取り戻すことが出来たおかげで、再び決意を固めることができた。それをシャシがスピーチしたおかげでJudgementalはなくなって、家族円満、万々歳のハッピーエンド。
これまたとても気持ちのいいストーリーです。

シャシの決意は、ラストシーンでも示されます。インドへの帰途の飛行機の中、CAが新聞をサービスしてくれる。シャシはヒンディー語の新聞はないのか? と尋ねるんです。無いなら、じゃあ、要りませんって。
あれだけ一生懸命学んだ英語なのに?
シャシが望んだのは家族からあるがままに受け入れてもらうことであって、独立して自尊を確保することではなかったんですね。その望みはかなった。だから、もう、英語は要らない――と。
うん、まことに気持ちがいい。 

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