愚慫空論

前記事を訂正:ISAFへの自衛隊参加は憲法違反

前記事にて私は、民主党小沢代表のISAF参加発言を支持する旨の主張をした。それを訂正したいと思う。記事の本旨そのものには変わりはない。訂正したいのは「ISAF参加容認」の部分である。

なぜこんな無様なことになったのかといえば、それは私のISAFについての認識に誤りがあったからだ。その誤りを正してくれたのが、

伊勢崎賢治の「15歳からの国際平和学」番外編~政権とったらISAF参加発言をどう考えるか」

勉強はしてみるもんだ。


伊勢崎教授は軍事について、3つの概念があると指摘している。

1. 個別的自衛権によるもの。

2. 個別的自衛権を発動する国があり、その国が強い利害で結びついているどこかの国と同盟関係にあれば、集団的自衛権で一緒に兵を出す。NATOや日米安保がまさにそうです。

3. 国連としての軍事の行使。これは、個別自衛権も集団的自衛権も発揮できないような例えばアフリカの小さな国で、人道的危機が起これば、国際社会つまり国連加盟国全体として何とか解決しようという。それが、国連憲章の第6・7章に書かれてあることです。外交的な措置がつきた時には、陸・海・空の軍を使うこともあると書いてあります。これが、「国連的措置」であり、英語では「メイジャー」という言い方をします。

そして、

この3つは混同するべきではありません。特に(1、2)と3は、混同してはなりません。

と強調。その上で

小沢さんの手記の問題は、ISAFをブルーヘルメット(国連平和維持軍)と間違えていること

と指摘。私が陥っていた誤りも、まさしくこれであった。

ISAFは国連の承認を得てはいるが、あくまで主体はNATO(これを知らなかった)。ゆえに上の分類でいくと2.にあたる。これは集団的自衛権を行使できないとする9条に反する。

9条下での武力行使が許されるのは、国連平和維持軍においてのみと考えるべき。国連平和維持活動(PKO)の一部としての国連平和維持軍(PKF)への参加に限定すべき。


民主党は、自民党が国会へ提出しようとしているテロ特措法の新法に対する対案に、ISAFへの自衛隊参加は盛り込まないらしい。伊勢崎教授の意見も参考にしたようだが、賢明なことだ。

賢明なことだが、ただこの「賢明さ」はちょっと微妙な賢明さではある。今回は伊勢崎教授の「強迫」を受けた形になっているようだが、小沢代表、果たしてこのこと(ISAFは2.)を知らずにISAF参加を表明したのか、どうか?

知らずに意見を表明していたのなら、誤りを正したという意味で賢明だと言える。だが、知っていて、表明していたとしたら? 意見表明への反響が大き過ぎて、伊勢崎教授の“強迫”を機に軌道修正しただけだとしたら? いかにも政治家らしい、狡賢い「賢明さ」である。

自衛隊の国連参加は、小沢氏の長年の持論だ。私などのように、1.2.3.を混同していたとは考えにくい。そう考えるとやはり、小沢氏は「賢明」なのだろうな。

コメント

疑問

初めまして。少し疑問に思う事がありますので意見を述べます。お許し下さい。

>小沢さんの手記の問題は、ISAFをブルーヘルメット(国連平和維持軍)と間違えていること(伊勢崎教授)

間違えているとは思えません。小沢代表の考えは自衛隊派遣をブルーヘルメットだけに限定していないと思います。(民主党の政策マグナカルタでもブルーヘルメットだけに限定している記述はありません)民主党の自衛隊派遣の原則は、平和維持のために安保理決議に依って国連が加盟国に参加を要請したものに限り、時の政府の判断によって可能という立場だと思います。(ISAFは国連が1386決議によって加盟国に参加を要請しています)

自衛隊派遣は、その活動する集団の主体が多国籍軍、NATO軍、米軍という違いによって、決定しようとは考えていないと思います。仮にイラク戦争で安保理決議が採択され、国連から参加の要請が加盟国にあったならば、民主党は武力行使も含む自衛隊の派遣は可能という立場だと思います。

民主党がISAF参加を見送ったのであれば、その理由は現状のISAF内での活動の成果に疑問を持ったからだと思います。

FKさん、はじめまして

>>小沢さんの手記の問題は、ISAFをブルーヘルメット(国連平和維持軍)と間違えていること(伊勢崎教授)

>間違えているとは思えません。小沢代表の考えは自衛隊派遣をブルーヘルメットだけに限定していないと思います。

はい。その可能性は充分あると思います。誤りに陥っていたのはあくまで私、愚樵であって、その問題に詳しいはずの小沢氏が、間違えていたとは考えにくいと思いますし、そのことは本文でも指摘し、伊勢崎教授も保留されています。敢えて間違えたと考える方が筋が通るかもしれません。

>民主党がISAF参加を見送ったのであれば、その理由は現状のISAF内での活動の成果に疑問を持ったから
そういうこともあるでしょうが、民主党すなわち小沢氏が、対案にISAF派遣を盛り込むのを見送ったのは、たぶん“政局判断”なのだろうと思います。

なかなかいい記事

訂正前の記事と今の記事、どちらもなかなかおもしろいです。
ISAFの位置づけでいろいろ議論が起こるのは当然なんです。というのは、PKO(PKF)自体が国連憲章に具体的な規定がなく、また、同じ「PKO」といっても、カンボジアとソマリアではまったく異なる活動になってしまっているからです。

自衛隊がISAFへの参加が可能かどうかについては、愚礁さんがエントリーした「訂正前」「訂正後」いずれも『解釈として成立している』のであって、訂正前も間違いというわけではありません。(もちろん、訂正後も間違いではないです。)

ただ、小沢氏の発言は、「国権の発動たる・・・」という部分でぶった切ってますから、これはちょっと・・・という感じですね。

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