愚慫空論

偏差値競争の弊害

今の日本国の実情について、

【佐藤優の眼光紙背】石川知裕衆議院議員に対する第一審有罪判決について

の文章が的確だと思ったので、引用させていただくことにする。

 今回の判決は、検察の完全な勝利だ。筆者は、この裁判を「誰が日本国家を支配するか」という問題を巡る政治エリート内部の権力闘争と見ている。もっともこの権力闘争に加わっている個々のプレイヤーは自らが果たしている社会的、歴史的役割を自覚していない。検察庁は「国家は資格試験で合格した偏差値エリートが支配するべきである」と考える官僚階級の集合的無意識を体現している。これに対して、「小沢一郎」という記号が、民意によって代表された政治家を代表している。ここで、実際に小沢一郎氏が民意を体現しているかどうかは重要でない。官僚から見れば、国民は無知蒙昧な有象無象だ。この有象無象から選ばれた国会議員は無知蒙昧のエキスのようなものだ。資本主義社会において、カネと権力は代替可能な関係にある。カネの力で無知蒙昧な有象無象の支持を取り付け、国家を支配しようとする「小沢一郎的なるもの」を排除しないと、日本が崩壊するという官僚階級の危機意識から、この権力闘争は始まった。



つまり、小沢一郎は実在の人物だが、〈小沢一郎〉は虚構なのである。それは主にネットを棲み処とする「民意」という名の虚構。

ネットの住民といっても中身はさまざまだ。だが、〈小沢一郎〉を構成する「民意」は有象無象ではあっても無知蒙昧ではない。だからこそ「資格試験で合格した偏差値エリート」たちは敵意を向ける。彼らが日本を支配するのに「国民が無知蒙昧」であるということが必須の条件だからだ。国民が“偏差値が高いからって威張るなよ”と言い出さないくらいに無知蒙昧でなければならない。そして〈小沢一郎〉とは、それを言い出した者たちなのである。

この〈闘争〉の行方を握るのが「無知蒙昧な有象無象」であることはいうまでもないが、問題はどのような形で彼らが判断をするかだ。どちらかに賛成するか? あるいはどちらかを拒否するか?

“偏差値が高いからって威張るなよ”という〈小沢一郎〉は自身に賛同が得られると思っている。確かにどう見ても偏差値エリートたちは威張りすぎだ。それは有象無象も徐々に気がつきつつあるようだ。だが、彼らの意思表示は賛同という形で現れることは少ない。たいていは拒否である。つまり「偏差値エリート、ウザイ」もしくは「威張るなよという奴ら、ウザイ」という形になって現れる。ネット上にも「威張るなよという奴ら、ウザイ」という輩は少なからず存在する。

現状、「無知蒙昧な有象無象」の多くは“偏差値エリート、威張るなよ”と声を挙げている〈小沢一郎〉の存在を知らない。偏差値エリートとそれに追随する連中が隠蔽している彼らに都合の良い【小沢一郎】を作り上げているからである。そして〈小沢一郎〉は、【小沢一郎】ではなく〈小沢一郎〉が広く知られさえすれば、国民は「偏差値エリート、ウザイ」と声をあげるに違いないと期待している。

だが、そうだろうか? 私は逆に「威張るなよという奴ら、ウザイ」という声もかなり大きなものになるだろうと思っている。

私がそう見る理由は、「無知蒙昧な有象無象」の多くは偏差値競争から無意識のうちに降りたと見るからだ。、そうした者たちにすれば「偏差値エリート、威張るなよ」に賛同せよとの要請は「再び偏差値競争に参入せよ」に聞えるだろう。無意識にせよ自ら降りた者にとって、そうした要請が「ウザイ」のは自然なことであろう。

「無知蒙昧な有象無象」は〈闘争〉から降りたということに、無意識のうちに負い目を感じてしまっている。これこそが、偏差値競争という〈闘争〉がもたらす最大の弊害だ。「無知蒙昧」は本質的に無知蒙昧なわけではない。彼らを無知蒙昧たらしめているのは、この「負い目」なのである。〈小沢一郎〉はその「負い目」を刺激してしまう。

このまま偏差値エリートと〈小沢一郎〉の〈闘争〉が続けば、日本国民はますます「負い目」を深くし、中国人のようになってしまうだろうと私は懸念する。日本人の心性が失われてしまう。

では、どうすればよいか。〈闘争〉から降りたことは正しい選択だったというメッセージを発することである。同時に〈闘争〉ではないプラットフォームを示すことだ。それはそんなに難しいことではない。なぜならそれは、つい最近まで日本人が送っていた暮らし方なのだから。そのメッセージが届けば、「無知蒙昧」は自ら無知蒙昧の殻を破ることになる。

社会には、単独で内発的に無知蒙昧の殻を破ることができる者も存在する。それは「学びへの痛切な理由」を持ち合わせているものである。そのような者は、何が「無知蒙昧」を無知蒙昧たらしめているかを見出すことが使命だと私は考えているのだが。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://gushou.blog51.fc2.com/tb.php/520-79b2335d

東京地裁の裁判長よ、大岡忠助が泣いているぞ!

禁固刑であるがいずれも執行猶予がついていることは事実上拘束されることはない。ということは「実」をとったということだろう。もちろん実とは「有罪」という果実である。 この ...

「核ないから爆撃受けた」欧米諸国が仕掛けたカダフィ打倒

北朝鮮幹部「リビア、核ないから爆撃受けた」 英大使に 2008年9月から今月まで平壌に駐在した英国のヒューズ前駐北朝鮮大使が28日、ソウルで記者会見した。北朝鮮の現状について、住民の間で失政に対する不満がうかがえるものの、中東の民主化革命のような事態...

 | HOME | 

 
プロフィール

愚慫

Author:愚慫
“愚樵”改め“愚慫”と名乗ることにしました。

「空論」は相変わらずです (^_^)

      

最近の記事+コメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

QRコード
QRコード