愚慫空論

【妄想】孫正義の野望・ロスチャイルドの支配【陰謀説】 ~後編

前編で示したのは、スマートグリッドを孫正義というひとりの人間が所有してしまうという妄想だった。

ただし、この妄想は決して実現不可能な絵空事ではない。スマートグリッドという設備は建設可能であり、ということは、それは資本主義社会では資本によって建設されることになる。そして資本主義社会では、建設された設備は資本を出資した者の所有になるのがルール。その所有者が孫氏ただひとりになるのかどうかはさておき、少なくとも「誰か」の所有物にはなる。
金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った
そこから拡大させた妄想は、スマートグリッドが電気という単一商品しか扱わないとはいえ市場と同等の機能を果すことから、あらゆる商品の需給調整をおこなう市場そのものを「誰か」が所有するというものだった。こんなことがもし可能なら、それは資本主義社会そのものを所有するということと同義になってしまうわけだが、それが可能で「誰か」がロスチャイルド一族であるとするのが、要するに「ロスチャイルド陰謀説」と呼ばれるものの正体だ。

そのようなことが本当に可能かどうかを想像するのは、スマートグリッドとは違って容易ではない。素朴に考えれば不可能としか思えない。社会を所有するなんて、想像を絶している。

だが、陰謀史観を用いると、そうした思考も可能になってしまう。なぜならそれは、内田樹氏も指摘するように「知的負荷の少ない世界解釈法」だからである。複雑怪奇でわけのわからない事象も、知的負荷が少なくて済む方法を用いるのなら解釈の道筋が見えてくる。これを利用しない手はない。

ロスチャイルド陰謀説が示す社会の所有手段は、「通貨を所有」することである。

ここでいう「通貨の所有」は、一般的な意味で言っているのではない。財布の中に紙幣が入っているとか、預金通帳に残高が記載されているといったようなことではない。普段意識されることは少ないが、通貨は私有物にはなり得ない。社会の公共財だ。それを専有することが所有と見なされるだけのこと。

偽札作りが犯罪になるのがその証左である。通貨が単純に私有物になり得るなら、偽札だからいって私有物として所持していても犯罪に問われることはないはずだが、実際は、たとえ流通を目的としないコレクションのためであったとしても、無許可での偽札製造は罪に問われる。人間がその感覚装置を通じて貨幣と認識されるような物体は、個人では製造・所有はできないのである。

「通貨の所有」とは、個人が持てないはずの貨幣を製造し流通させること。これはつまり、通貨発行権を握ることを意味する。

ロスチャイルド陰謀説の「骨格」は、

・初代の当主が“私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんな ことはどうでも良い”と発言したと伝えられること、
・ロスチャイルド一族が大英帝国時代のイギリスを中心に大発展し巨万の富を手中に収めたこと
・現在の世界に基軸通貨であるドルを発行するFRBは実は民間銀行で、しかもその株主は明らかにされておらず、ロスチャイルドがその大株主である可能性が高いこと。

といったような状況証拠によって組み立てられている。そうすると、どういったことになるのかというと、

『"無"から創造されるお金』(日本人が知らない恐るべき真実)

 日本語で紙幣と手形は違うことばで表現されますが、英語では紙幣も手形「notes」「bill」「draft」です。つまり、ドルというお金の正体は、米国政府が発行する国債を担保に、ニューヨーク連邦準備銀行が政府に貸し付けた手形=債権証書なのです。

 たとえば、米国政府が1億ドル必要だとしましょう。そうすると連邦準備銀行は、米国財務省から国債を購入し、政府の口座に1億ドルを振り込みます。この1億ドルは誰かの口座から借りてきて振り込んだお金ではありません。連邦準備銀行が何か実物的な資産を提供しているわけでもありません。ただ、米国政府の口座に1億ドルと記入するだけです。連邦準備銀行は口座に数字を記入するという行為だけで"無"から1億ドルを創造するのです。そして、政府は1億ドルを受け取り、公共事業等の出費として米国社会に1億ドルが流れていきます。

 さて、政府は時が来たら返済時に利子をつけて返さなければなりません。仮に利子をつけて1億500万ドルを返済するとしましょう。米国政府は国民から税金を集め、1億500万ドルを返済しなければなりません。しかし、世の中に出回っているお金は1億ドル。500万ドル足りません。政府が1億500万ドル返済するには、新しく国債を発行し、世の中に流し、回収するしかありません。一度、財政規律を踏み外した政府の借金が規則的なリズムで大きくなっていく理由がここにあります。

 銀行は"無"からお金を生み出し、国民はそれに対して利息を支払う義務を負う。また、政府は財政赤字を積み上げていく。そして、このマジックのようなお金を使って世界中から米国に実質的な富が流れ込んでいく。その利益が最終的には国際的な金融資本に流れ、銀行家は『労働なき富』を築き上げていく。


ここで述べられていることは、それがロスチャイルドの陰謀かどうかは別としても、概ね事実である。FRB以外にも、銀行は「信用創造」を行なって無から通貨を創造し、無から利子を徴収している。ただ、その利息収入は直接銀行家の懐へ転がり込むわけではない。実際の経済の仕組みはそんな単純なものではないし、ここで「知的負荷の少ない」方法を選択してはならない。

しかし、事情は複雑だが「誰か」が、無から利息収入を得ていることには間違いはない。

このことを、今一度スマートグリッドに立ち戻って考えてみる。

スマートグリッドというのは需給調整機能を備えたネットワークである。スマートグリッドの所有者はネットワーク参入者から、参入者同士の自由競争とは無関係に、使用料を広く徴収することが出来る。

通貨とは、とどのつまり、信用に他ならない。市場とは通貨の信用を介して、ネットワーク参入者同士が自律的に需給調整を行なうネットワークである。ロスチャイルド陰謀説は通貨を私有することで一部の者が利子を手にすることが出来るとするが、これは、孫正義氏がスマートグリッドを所有すればネットワーク使用料を徴収できるとするのと、構造的にはまったく同じである。つまり金利とは、通貨の信用によって自発的に形成される需給調整ネットワークの使用料なのである。

市場というネットワークが「誰か」に私有されているかどうかは定かではない。が、市場は現実に存在するし、金利も支払われている。ネットワーク使用料が支払われていることは紛れもない事実である。支払いが行なわれていれば、かならず受け取る者が存在する。その誰なのかは定かではないが、そうした者たちが金融市場といわれるところに棲息していることだけは間違いなさそうだ。

ここではその「誰か」を追求することはしない。それよりも、そもそも私たちはネットワーク使用料を支払わなければならないものかを先に考えるべきだと思うからだ。

何者かが出資をし、労働を投入し、作り上げた設備を使用するのであればそれに応じた使用料は支払われるべき。だが、通貨の信用によって出来上がっている通貨ネットワークはそのような性質のものではない。通貨ネットワークの鍵である信用は、ネットワーク参加者ひとりひとりの「信憑」によって維持されいる。それは決して通貨発行者の手柄によるものではない。通貨は「無」から生み出されるものなのだから、出資も「無」でしかない。あるとしても詐欺的アイディアだけである。

今日の経済システムが必ず破綻してしまう原因はここにある。通貨ネットワークから徴収された使用料はネットワークの更なる拡大に費やされる。しかしその拡大は無限ではない。必ず限界に突き当たり、変調を来す。労働の商品化が進み経済格差が拡大するのも、成長の限界に突き当たったネットワークがその成長先をネットワークの内部に向けざるを得なくなった結果に過ぎない。

もし仮に通貨ネットワークに所有者が存在するとするなら、考えるであろう処方箋は2つ。ひとつは、ネットワークの一部を物理的に破壊すること。つまりは戦争である。通貨ネットワークは、たとえ一部が破壊されたとしても使用料が徴収できる限り再び格差させることが出来る。もうひとつはネットワークの入れ替えである。既存の通貨を後はご破算にし、機軸となる通貨を別のものへと入れ替える。これらの方法はいずれも、それまで得た利潤を確保する何らかの手段がありさえすれば、所有者にとっては非常に魅力的なものに映るだろう。

コメント

似たような感想

私も似たような感想を持っています。
自然エネルギー、特に太陽光ビジネスは電力会社自体も現実に稼働させていますし、他の大企業も参入しているビジネスです。孫氏が後発で、特に現状では魅力のない太陽光発電ビジネスに熱心になるとは思えません。
私は、孫氏が欲しいのは東電の電力網そのものだろうと想像しています。
東電が100%減資すればその疑いは晴れるのですが、減資しない場合に、底値で大量に株を購入している誰かが浮上してくるのだろうと思っています。
孫氏の謎の寄付金と東電株の購入資金がなぜか同じような金額です。(笑)
それとは別に、太陽光発電も日々進化して、原子力に変われることも現実化しそうです。
今より100倍効率のいいパネルで、コストは1000分の1、そして形状も自由で煙突状にも出来る、そんなパネルも出来るそうです。

・scottiさん

孫氏にとって、垂直統合型企業との闘争はNTTとの間ですでに経験済みのこと。そして、あの孫氏ですから、そんなレベルで満足するはずがないのも、だいたい察しが付きますよね。

太陽光発電も日々進化して、原子力に変われることも現実化しそうです。

う~ん、それが果してよいことかどうか? 太陽光発電の技術進展は文句なしに素晴らしい。しかし、原子力にそのまま取って替わるのはどうでしょうね? 私は原子力とともに、人間の都合に応じてエネルギーが供給できてしまうようなシステムともおさらばする方がいいと考えているのですが。

妄想は続く

愚樵さん、こんにちは。

孫さん、好きな人ではあるので、
3.11直後は応援していたんですけれど、
自分自身が冷静になるにつれ、私も同じような妄想をしています。^^

ロス家について書こうと思っていたので、
このタイトルを見かけて、「おっ!」だったので、
コメントしてみようかなという気持ちになりました。
いろんなことを調べていると、この陰謀説にたどり着く。
でも、たとえネットや本であっても、
私ごときがたどり着けるってことは、
彼らはボスキャラではないんだなぁ・・と、
同じくイルミやフリメなども。
次のエントリーはこの続きとして読みました。
妄想の旅は終わらない~。

そのように読んでいただければ嬉しいです

・ゆめさん、おはようございます。

次のエントリーはこの続きとして読みました。

そのように読んでいただければ嬉しいです。私もそのつもりで書きましたから。(それだけでもないのですが)

私が気がついて欲しいと思っていることは、陰謀の有る無しなんかではないのですね。国際金融資本による支配は存在しているのかもしれない。しないかもしれない。ですが、その可能性に気がつきさえすれば、次のステップへの展望も開けてくる。金融資本による支配があったとしても、それを可能ならしめているのは私たち自身なのです。

この「可能ならしめている」ところを何とかしなければ、いかなる処方も無効に帰すと私は思っています。たとえば、私はベーシックインカムに反対を唱えていますけれども、その理由がこれなのです。自発的に形成される需給調整ネットワークの使用料を「誰か」に自発的に支払ってしまっているような状態を放置したままでB.I.を導入したところで、結局は無限に成長しようとするネットワークの中へ埋没してしまう。それを防ごうと思うと果てしない権力〈闘争〉を継続せざるを得ず、〈闘争〉は良心を【良心】へと変貌させ、人々をバラバラにしてしまう。B.I.は、今の状態ではもっともやってはならない処方箋です。

これはですね、ゆめさんのところでも少し触れた心の層の問題でもあります。そのあたりのところは、また改めて書いてみたいと思っています。

ステップ

>その可能性に気がつきさえすれば

これ、なかなか難しいことだなぁと思いつつ、でも、陰謀論を詳しく説く人が私の身近にいたことと、自分で調べることの先にその人の説く陰謀論が出てきたことで、自分はこの可能性に気づけたってことを考えると、本当かどうかはさておき、陰謀論についてわーわー言ってみてもいいのかもねぃ、と思ったりもして。けどー、ものごとを「まず疑う」というベースがないとやっぱりなかなか難しいかな。【すごい人】や【エライ人】とゆーのに弱い人とか。^^

そうか、B.Iについてそこまで考えていなかったですね。っていうか、たぶん今のままじゃ【良心】故に導入は無理だとも思ってはいるけれど、、もう少し詳しく聞きたいなぁ。

心は一筋縄ではない

・ゆめさん、おはようございます。

ゆめさんのところで当エントリー紹介を紹介してくださったようで、ありがとうございます。

陰謀論を詳しく説く人が私の身近にいた

へえ~、では、広瀬隆氏の『赤い盾』などもご覧になりましたか? 氏は現在、反原発関連で注目を浴びていますけど、「陰謀論」関連にも強い。そちらでも注目を浴びてもいいと思っているんですがね。

ものごとを「まず疑う」というベース

あ、いえ。それも必要ではありますが、それだけでは足らないんです。それだけだと、陰謀説に取り込まれてしまって【良心】的になってしまう。

アキラさんとこの『野口先生語録』なんかでしばしば紹介されるように、人の心ってのは一筋縄ではいかないものです。

(ゆめさんのところで“無造作に”と書き込んだことがありましたが、あれは“一筋縄におく”という意味です。)

ですから、自分の外側の情報を疑うことにもまして、情報を受け取る自分を疑うことの大切。それがないと「陰謀論」の次へ進むことが出来ません。

B.I.もそうなんです。その理念は一も二もなく立派です。でも、立派だということは、それだけ嘘なんだということなんです。心が一筋縄ではいかないというのはそういうこと。昔、ヒトラーが喝破したように、人間は大きな嘘ほど信じてしまうものなんです。

B.I.は、理念はどんなに立派でも、とどのつまりは強制的に奪うものです。一見、奪っている強者から奪い返すから正しいと思いがちですがね。そうではない。弱者は奪われているのではなくて、実は自ら差し出しているのです。私たちは金利を自発的に支払ってしまうでしょう? そこに目を瞑って奪い返すなんてことをやったら、表立った秩序を支えている心の秩序がムチャクチャになる。

でも、一方で、金利を「自ら差し出している」ということに気がつけば、奪わなくても、B.I.を「自ら差し出す」方法があるのではないかというところに考えが至るはずです。そのあたりを考えるには、一筋縄ではいかない心の在り方をよ~く見つめ直さなければなりませんが。

(以前、B.I.的なことを http://gushou.blog51.fc2.com/blog-entry-242.html あたりでゴチャゴチャと書いてみたことがあります。今でもここで書いた基本ラインに変わりはないんですけど、もう少し整理して書き直してみます。)

悪心

このエントリーを紹介させていただいたのは、
陰謀論に触れたかったので、丁度良かったんです。
孫さんのことも含めて、私の言葉で書くよりずっとわかりやすいですし。

「赤い盾」は読んでいません。
20年ぐらい前に「危険な話」は読みましたが、陰謀論について書いていることを知ったのは割と最近です。陰謀論について知るようになったのは9.11以降で、3.11以降は取り込まれそうです。^^;

B.Iについては、
>強制的に奪うものです
という認識がです。
財源のことかな?国家へ依存(?)するということかな?
いずれにしても、前のコメントでも書きましたけど、現在の「お金」の在り方(お金に対する考え方=心の在り方)では難しいのかもしれないけど。

あらら。
私ってば、心を一筋縄に置いてますか。やっばいなぁ、そのつもり(自覚)が全然ない。(汗


過去のエントリーも少し読ませていただきました。リンクありがとうです。
だいぶ前は、とっても難しくって理解不能だったけれど、少しずつ慣れてきたようでおもしろく読めるようになってきて、いろいろ考えさせられます。

一般化、個別化

・ゆめさん、おはようございます。

財源のことかな?国家へ依存(?)するということかな?

その点については、以前にまとめたものがあります。
http://gushou.blog51.fc2.com/blog-entry-350.html
『ベーシックインカムの難点』というタイトルで、内容は二重の隷属になってしまう、といったものです。

私ってば、心を一筋縄に置いてますか。

わはは。でも、それこそがアーティストとしての資質でしょう? 心をいかに素直に(一筋縄に)捉えるか。アーティストとしては、そちらの方を向いていないと難しいものがあるのではないですか。

一筋縄への方向性を考える切っ掛けとして、今朝、湧泉堂さんとおっしゃる方への返答コメントなんですけど、そちらにも目を通していただければ。

http://gushou.blog51.fc2.com/blog-entry-512.html#comment4049

いろいろな問題は「一般化」「普遍化」から始まるのです。貨幣なんてものは現在社会で、最も普遍的なるものですよね。それをいかに「個別化」できるかというのが課題です。B.I.もやっぱり「一般化」なんですよ。人間はアタマが良すぎて、何もかもを「一般化」してしまう。アタマデッカチなんです。

心が素直に一筋縄でいくときというのは、個別的なときでしょう。具体的な「誰か」に向かうときに、それが愛であれ憎悪であれ、一筋縄へ向いていきますよね。でも、社会になってしまうと具合が悪い。大人になって社会人というやつになるにつれ、一筋縄でいかないことに適応してしまうんです。

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