愚慫空論

「小沢一郎」が負けた?

昨日の民主党代表選。菅直人が勝利しました。

ということは、小沢一郎は負けたということ。これは動かしがたい事実です。
が、その事実は「小沢一郎」が負けたことを意味しているのか?

この先を続ける前に、“小沢一郎”と“「小沢一郎」”の違いを説明しておかなければなりませんね。

小沢一郎は、小沢一郎本人のこと。岩手四区から選出された衆議院議員で、民主党の前幹事長。小沢一郎と名乗る人物は他にもいるかもしれませんが、昨日民主党代表選を戦った小沢一郎はこの世にひとりしかいない。

「小沢一郎」は、その小沢一郎の虚像です。極端なことをいえば、小沢一郎はこの世にたった一人しか存在していないが、「小沢一郎」は小沢一郎のことを知る人の数だけ存在している。と同時に、「小沢一郎」は、そうしたひとつひとつの虚像のことではなくて、個々の虚像の集合体・最大公約数としての「小沢一郎」のことだとも言える。

同様のことは菅直人についてもいえるわけで、ということはつまり、小沢一郎vs菅直人が戦った民主党代表選は、「小沢一郎」vs「菅直人」の戦いであったということができるわけです。

そして、その戦いに結果が出た。
この結果はたしかに、ひとつの区切りではあります。

が、それは必ずしも「小沢一郎」が負けたことにはならないのではないか。


話をわかりやすくするために、私自身の「小沢一郎」について語りましょう。

私は昨日の結果を知っていますし、その結果を受け入れてもいる。ですが、それでもなお私の中の「小沢一郎」に変化はない。

私は小沢一郎支持です。それも「積極的」支持。この「積極的」は、ネットでよく言われる「マンセー」ということではなくて、菅直人が“三ヶ月で首相が替わるのは良くない”もしくは“小沢一郎は政治とカネの問題があるから”いった理由で「消極的」に支持されるのとは反対の、“小沢一郎だから”“小沢一郎に期待する”といった意味での「積極的」。そういうスタンスは、昨日の結果を受けても何ら変化はない。変化がないどころか、小沢一郎への「積極的」支持はより強化された。

そういった意味では、私の中の「小沢一郎」は「菅直人」にいまだ負けていない。そして、ネット上に多く存在しているといわれる小沢支持者は、昨日の結果を受けて、私と同様、より「積極的」小沢支持を強化したのではないか、と想像するわけです。


先ほど私は“最大公約数としての「小沢一郎」”といいましたが、今回の代表選では実は、“最大公約数としての「小沢一郎」”は存在していなかった。端的に言うと、ネット上での「小沢一郎」とマスメディアで描かれる「小沢一郎」は大きく乖離していた。この乖離が今回の代表選の特徴だった。

そしてもうひとつ。今回の代表選の特徴は、「積極的」vs「消極的」の戦いであったということ。つまり、小沢一郎への支持は「積極的」菅直人のへの支持は「消極的」、言い換えれば小沢一郎への「積極的」支持と、小沢一郎への「積極的」支持の戦いであって、数としては不支持が上回った、ということだったわけです。

私が“必ずしも「小沢一郎」が負けたことにはならない”というのは、この戦いの結果が小沢一郎への「積極的」支持を弱体化するどころか、逆に強化することになった(であろう)ことを指している。

以下は私の根拠のない予測ですが、菅陣営が今後の主導権を握るにしても、政治は小沢一郎を中心に動いていく。「反小沢」だということは、裏を返せば小沢が中心ということに他ならないわけです。そして、そのことが今後もますます小沢一郎への「積極的」支持を強化していく。


所詮、政治は力と力の闘争です。小沢一郎はその「力」を田中角栄にならって「数」だとした。が、私はそのようには考えない。

多数決の原理に依拠する民主主義の制度下では「数」が「力」なのは事実。しかし、世の中を動かしていくのは「数」ではない。「積極的」に発揮される「力」です。いま、「小沢一郎」は国民の「積極的」な「力」に中心に位置している。

「消極的」な「力」は、いくら集まってもものの数にならない。これは実社会で多少なりとも経験を積んだ者なら誰もが知る真実です。いまの日本が不幸なのは、「積極的」な「力」を抑圧してしまっていること。それも民主主義の原理がその抑圧に使われている。「消極的」な人々も社会の現状に強い不満を抱えているのもかかわらず、です。

「消極的」と「積極的」の真ん中で壁を築いているのが、マスメディアです。だから“マスゴミ”と称される。ゴミの山が人々の積極性を疎外しているなんて、本当に不幸としかいいようがありませんね。

コメント

小沢待望が芽生えた選挙

多くの日本国民に小沢待望が芽生えた有意義な代表選でした。
菅さんも多くの手形を切ったので、頑張ってくれるでしょう。
手形が、大企業や同士にばかりでないことを祈ります。
投票前に、小沢さんが捨て石になるとの負けを覚悟した発言が気になっています。

小沢バッシングの反動なのかも知れないが

菅対小沢の選択とは、救いがたい無能対金に汚い悪党の究極の選択なのだと言い続けていた身には、一部を除く多くの護憲左派の小沢待望論の凄まじさ熱っぽさがどうしても理解できない。
小沢一郎を何か救世主扱いする様は異様な有様ですよ。
私の知っている現実のリアル世界の小沢一郎以外の、まったく別の理想のもう一人の『小沢一郎』がいるのでしょうね。
菅が情け無いのは誰にでも判るが、だからと言ってその反対であるからと『小沢が正しい』とはならないのですよ。
それにしても今度の代表選挙で明らかになった事実ですが、民主党は自民党以上に自民党なのです。
何の目的か、民主党は非民主的な人為的に多数派を作る小選挙区制を代表選で採用しているのだが、必要があるのですか。
圧倒的な大差などと新聞の見出しにはあるが、事実は1割の党員が態度を変えれば小沢の勝利だったのですから小差も小差。
しかも投票率は6割の少なさで普段の国政選挙並の低さなので、自分で党費を払う政治意識が高い政党党員の選挙でなかった事は確実です。
一般市民の投票でも議員選挙ではなく首相公選制の選挙なら何割かは上乗せ出来るので高いと予想されることや、自民や共産支持者にまで投票用紙が配られた事実を考えれば自民党と同じで多くの名簿だけの幽霊党員が含まれていたのでしょう。
この誰に選ばれたか判らない胡散臭い20万人程度の一般市民が、勝手に事実上の国家の最高責任者を選んでも良いのか。?
国家の責任者の選挙権の有る党員の名簿はアメリカのように一般公開して誰でもが何時でも閲覧可能にするべきでは無いでしょうか。
またアメリカ大統領予備選に様に各県で党員大会を開いてその場で党員が投票すれば今回のように不正が噂される事も無いでしょう。
それにしても議員の選挙での不在者投票では二重封筒で投票の秘密が守られる仕組みであるのに、それ以上に大事と思われる一国の総理を選ぶ選挙が丸見えの葉書とは呆れ返る。
投票の秘密がまったく守られていない。丸見えでは反対票は開票以前に抜き取られることも十分に考えられるのですよ。
ところが何十万人もの有権者の代表である議員の方は秘密投票なのですよ。
これ逆さまでしょうが。
議員は一個人を代表しているのではなくて公人(代議員)であるのですから記名投票こそが正しいし事実、国会ではすべて記名投票で責任を明らかにしているのです。

小沢金権疑惑ですが、この解決方法はまったく簡単であるのですよ。マニフェストのとおりに企業団体献金を禁止するだけでよいのです。
これですべてが解決するし企業献金に丸ごと依存している自民党の息の根も止めることが簡単に出来るのです。
幹事長に岡田がなったが自分自身が財閥なので企業献金とは縁がなく、民主党では一番企業献金禁止には熱心なので少しは期待できるかも知れません。

空気

・scottiさん

>投票前に、小沢さんが捨て石になるとの負けを覚悟した発言が気になっています。

事前に負けを知っていたのでしょうけれども。「捨て石」の意味が気になりますね。代表選の戦いを指すのか、小沢一郎自身を指すのか?

前者だとは思いますが。


・宗純さん

一部を除く多くの護憲左派の小沢待望論の凄まじさ熱っぽさがどうしても理解できない。

率直に言わせてもらいます。それは「知ったつもり」になってしまっているからでは?

私たちが知ることができるのは小沢一郎は虚像だけです。作り上げられた虚像、もしくは自ら作った虚像。その虚像が集まっていわゆる「空気」となる。

この「小沢一郎」という「空気」にも2種類あって、マスゴミが作った「空気」とネットで生成された「空気」とある。前者は冷ややかで、後者は熱い。

宗純さんもご存知の通り、世の中を動かすのは正誤ではありません。善悪でもない。「空気」です。「空気」に集まったエネルギーが世の中を動かしていく。

菅対小沢の選択とは、救いがたい無能対金に汚い悪党の究極の選択

小沢が金に汚いのかどうか、その正誤は問いません。問うても意味がないからです。意味があるのは“汚い”というイメージだけ。

マスゴミは小沢が“汚い”というイメージを作り出している。ネット住民はそのマスゴミが“汚い”と考えいる。“汚い”マスゴミが攻撃する小沢を“クリーン”だと思い込むのは短絡というほかありませんが、そもそも問題は“汚い”か“クリーン”かではない。それが「有用」か「ゴミ」かです。ですから私は、

 菅対小沢が究極の選択

だという宗純さんの意見には頷けません。選択の軸がブレているとしか思えないのです。

「有用」か「ゴミ」か

愚樵さん。

「有用」か「ゴミ」かのようなブラスかマイナスか、白か黒かのデジタルな判断であるなら物事は簡単であるのですが、物事はそのようにはなっていません。
菅はたったの3ヶ月の実績でも丸太並みの無能なのは明らかで、それなら日本経済のデフレは進行していき徐々に日本丸は沈没するのは確実であるのですよ。
では小沢なら如何成るかの結果がさっぱり判らないのですよ。
護憲諸氏の思うようにオオバケして歴史に名を残す大政治家になり日本の救世主になるのか。?
それとも日本を炎上させて焼け野原にするのか。?それとも今までの小沢一郎のままで自民民主の大連立で永久保守政権を目指すのか。?誰にも判らないのですが、夢も希望の無い菅よりも、まだしも僅かでも夢の有る小沢一郎に期待する気持ちはわかりますが3分の1どころか確率的にももっと低いのですよ。

「空気」はデジタルではない

・宗純さん

「有用」か「ゴミ」かのようなブラスかマイナスか、白か黒かのデジタルな判断であるなら物事は簡単であるのですが、物事はそのようにはなっていません。


そのとおりです。ですから私は「空気」という言葉を用いました。

「小沢一郎」に集まる人々のエネルギーがどのような方向へ向くかは誰も予想がつきません。一部で言われるように小沢一郎はヒトラーのような独裁者になるかもしれない。その可能性は決してゼロではない。

今回の菅直人政権を、私は「反動」だと見ています。なるほどそれは、たとえマスゴミによって作られたものであったにしても、民意ではあったかもしれません。しかし、宗純さんもご存知のように、民意はブレるものです。歴史は、揺れ動く民意に左右されつつもある一定の方向へ動いていく。

菅政権を「反動」と見るのは、そして大手のメディアを“マスゴミ”と表するのは、歴史の大きな流れに抗うのだと捉えるから。官僚主権の日本の寿命はどう見ても長くはない。

「有用」という表現は、不適切な表現であったかもしれません。「有用」は小沢がヒトラー化することまで含めて言っていますから。私の貧しいボキャブラリーでは、上手い言葉が出てこなかった。

「有用」「ゴミ」という分別は、大きな歴史の流れに沿うか否かを軸としています。その境は明瞭ではないが、大まかな方向性は確かにあるのです。

将来は判らないが

小沢一郎首相が何を実行するかの将来の話は未知数なのですが、
小沢一郎が今までどんな政治行動をしていたかは明らかなのですよ。
菅と小沢の違いですが、
民主党でもっとも自民党時代に忠実な政治を行っている菅直人(だから護憲左派のブログ諸氏が怒っているのだか)。
これに対する反発が、
もっとも自民党的な体質を持っている政治家である小沢一郎支持なのですから、これでは救われないでしょう。
小沢の『これから』は不明ですが、『これまで』なら判っているのです。小沢達が進めた政治改革さえなかったら16年間で1回の政権交代ではなく何回も政権交代が起こっていたのですよ。
民主党幹事長時代でも、彼は最も優れた自民党幹事長なのです。
今のように自民党Aと自民党Bしか選択肢が無いとの発想自体が末世ですよ。

視点の違い・土俵の違い

・宗純さん

私と宗純さんとでは見ているものが違います。

宗純さんが見ているのは“小沢一郎”。
私が見ているのは“「小沢一郎」”。

その違いは本文で説明しました。

>民主党幹事長時代でも、彼は最も優れた自民党幹事長なのです。

宗純さんのその見解が正しいかどうか、私には異論はありますが、ここでは触れません。それは宗純さんの土俵に上がることになるから。私の土俵はそこではないのです。

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