愚慫空論

地方創権

小沢一郎は「いちばん大事な政策は?」という問いに対して、「地方分権」と答えたという。

なるほど、立派な見識で高く評価したい。だが、同時にそれでは足りないとも思う。

これは小沢一郎の見識に対して足りないといっているわけではない。小沢一郎は次の総理大臣、つまり日本国のトップと目されている人物であり、その人物が「地方分権」を唱えることはトップの視点からは当然のこと。足りないというのは、私たち自身がその政策を受け入れ評価するだけは足りない、ということ。それはあくまで「上からの視点」であり、実際に地方で暮らす者たちには当然のことながら、異なる「下から視線」があってしかるべき。それがなければ「上から」の改革に頼ることになってしまう。それでは足りない。

例えば、地方で問題になっている耕作放棄地の問題。耕作放棄地を活性化させるのに必要なのは、起業・創業である。その起業を、中央で大きな資本を握っている起業に任せれば、たとえ行政面で地方分権がなったとしても、実質的な意味での中央集権に変化はない。中央の資本が中央で余った労働者を地方において受け入れ、吸い上げた利潤を中央へ持ち帰る。これでは地方分権は掛け声だけ。中央から地方へ財源が委譲されても、頼るべき財源が中央にしかないのであれば、地方分権は実質的な意味を持たない。

実質中央集権の構造下では、中央から地方へ移動する労働者は、棄民としての扱いを強いられることになる。現在、一部で移民政策が唱えられているけれども、この根本にある発想も棄民、つまり「上から」の視線。地方が棄民の受け入れ先でしかないのであれば、地方が活性化するはずもない。地方が活性化するには、地方における起業・創業が必要。単純な話だと思う。

タイトルに掲げた「地方創権」は、しかし、地方における創業の必要性を訴えるだけのものではない。現在のグローバル化した経済体制下では、地方での創業は、不可能ではないにしても、構造的に不利。なぜならグローバル経済とはすなわち貨幣システムによって中央集権化された経済でもあるからだ。

つまり「地方創権」とは、地方における創業を育む土壌を創るという意味である。具体的には地域通貨である。地方が、その地域で流通する独自の貨幣を創造してその地域通貨に基づいた経済圏を創出することができたとすれば、それはそのまま地方独自の財源を創出したことになる。

またこの地方経済圏は、地産地消というエコロジカルな理念とも合致する。

そうはいっても、問題はある。地方での創業は「地方創権」が有利だとはいっても、地域通貨と中央銀行券とでは、中央の方が構造的に有利だからだ。ここを覆すことが出来なければ、地域通貨といっても単なる精神論・理想論にしかならない。

しかし、方法はある。一例は、悪名高き消費税を逆用する方法。現在、消費税は5%だが、これは中央銀行券を使用したときに課税されるもの。地域通貨では消費税なしとしれば、消費者にとっては地域通貨を使用するメリットが出てくる。ただ、税率0では財源にならないので、中央銀行権で10%地域通貨で5%とするのもよいかもしれない。

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