愚慫空論

生産の三要素 ~産業革命と勤勉革命

一般に生産の三要素というと、土地・資本・労働があげられます。

これら三要素はそれぞれ別次元ではあります。が、近代社会では、この三要素はすべて貨幣によって価値が測定されてしまっていますから、その意味では別次元ということはできません。また実際、これら三要素はすべて物質性という枠で括ることが出来ます。

私は以前に、生産(労働者の虚実変換)には自然、時間、意欲の三要素が必要だとしました。これらの三要素はそれぞれ物質性(自然)、時間、精神性(意欲)ですから、同じ枠で括ることは不可能です。同じ枠で括ることが出来ないということは、この3つを定量的に扱うことは不可能だということですが、ここでは敢えて、

自然*時間*意欲⇒生産

という式が成り立つものとして考えてみます。

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産業革命という現象を「自然*時間*意欲⇒生産」からみてみます。

産業革命は生産量を増大させました。〔生産↑〕です。
では、自然、時間、意欲の各要素の動向はどうか? おそらくは

〔自然↑〕*〔時間↑〕*〔意欲↓〕⇒〔生産↑〕

ではないのでしょうか。

自然は物質性ですから、その要素はさらに土地・資本・労働に分けることが出来ます。産業革命の特徴は資本集約ですから、当然〔資本↑〕です。土地は変化なしと考え、労働負荷は減少したと考えると〔労働↓〕です。すると〔自然↑〕となったのは、〔資本↑〕が大きい為だと考えられることになります。

〔時間↑〕とは、労働者の拘束時間が長くなったということです。また〔意欲↓〕の意味するところは自発的労働が少なくなったということになるのでしょう。自発的な意欲の湧かない労働に長時間従事せざるを得ない状況――、それが「疎外」でしょう。

対して、勤勉革命をみてみます。勤勉革命は

〔自然〕*〔時間↑〕*〔意欲↑〕⇒〔生産↑〕

だったろうと思われます。勤勉革命は労働集約ですから、〔自然〕の内訳は〔資本↓〕〔労働↑〕です。
************************************

上記の分析が当たっているとして、どういったことが言えるか? それは、

・産業革命では生産の物質性に重きが置かれるようになった。
・勤勉革命では生産の精神性に重きが置かれるようになった。

ということです。日本人が「こだわり」を大切にする職人気質や「働かざる者食うべからず」といった道徳観を涵養するようになったのは、勤勉革命を経てきたがゆえなのです。

コメント

こんばんは。
この度はブログにお越しいただき、またコメントいただき、ありがとうございました。

「生産の三要素」の話、興味深いです。
学生時代に耳にした、産業革命が"Work"を"Labor"に変えた、という話を思い出しました。

かつて職人がモノを作る過程では、「モノをつくりあげる」ことそのものに喜びがあったけど、機械化された工場労働では、「モノをつくる」ことの達成感は得にくいでしょうね。
生産量が増えるかわりに、「働くことの喜び」は減っていった。

下の「勤勉革命」のエントリとも関係するのですが・・・。
西欧でも、「勤労」が美徳、「怠惰」が罪とされるようになったのは、17世紀以降(宗教改革以後)のことだと言われてますね。
「勤労」という概念は、近代の発明品のような気がします。

まとまりのない内容ですみません。
またブログ読ませていただきますね。

ようこそ、月ノヒカリさん

まとまりのないコメント、大歓迎です。

もともと私のエントリーにはまとまりがないものが多いですし、また、まとまりにないコメントから“なにか”を受け取ることが多い。

現に今も、月ノヒカリさんにお返事しながら、もっとまとまりのないエントリーを書こう、なんて思っています(笑)

「勤労」という概念は、近代の発明品のような気がします。

はい。それも月ノヒカリさんが仰るようにプロテスタンティズム発のものでしょう。

勤勉革命を経た日本人の労働の概念は「仕事」というものだと私は思っています。よろしければこちらのエントリーを見てみてください。
http://gushou.blog51.fc2.com/blog-entry-326.html

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