愚慫空論

仲間外れのない社会を創るには

前々回からの続き

仲間外れはよくない。だから仲間はずれのない社会を創らなければならない。では、どうやったら仲間外れのない社会を創ることが出来るのでしょうか?

私の考えを先に述べましょう。そのために必要なことは

仲間外れにすることを「引き受け」ること

です。毎度のことながらおかしなことをいうと思うでしょうが、「引き受けること」は「容認すること」とは違います。

前々回のエントリーに人生アウトさんがコメントをくださいました。

私はこの「仲間はずれ」を「仕方ない」という言葉で理解しています。
いじめ問題を考えてもそうですが、好きこのんで「仲間はずれ」をする人は少ない。
けど、「仕方ない」ならどんなこともやってしまう。免罪されてしまう。


「仲間外れ」は「仕方がない」 → だから〈私〉には責任がない。
「仲間外れ」は「仕方がない」 → だから〈私〉には責任がある。


人生アウトさんが提示したのは上の論理です。では、下の論理は間違いなのか? いいえ、私はそうは思いません。下の論理も「あり」だと思う。上は「容認」下は「引き受け」です。どちらも正しい論理のうち、「容認」を選ぶか「引き受け」を選ぶが、そこは自由です。が、この自由は〈責務〉からの解放を意味するのではなくて、〈責務〉と対峙することを意味します。

「容認」は言い換えれば「依存」です。外的条件の「仕方がない」に依存して、〈私〉が責務を果すことを放棄する。同様にいうなら「引き受け」は「自立」です。ゆえに、「仕方がない」ことは自己責任です。〈私〉は責務を果せなかった。だから〈私〉に責任がある、というわけです。

では、〈責務〉とは何なのか? それは社会を豊かにすることです。〈私〉が生存し豊かに暮らしていくには社会が豊かにならなければならない。それが〈私〉に課せられた〈責務〉です。「仲間外れ」は社会を貧しくします。「容認」の論理を選択することは、社会の豊かさに依存して自らは社会の豊かさに貢献する〈責務〉を放棄することになる。だから非道徳的なのです。

しかし、そうはいっても私たちも有限な世界で生きている以上、どうしても「仕方がない」に遭遇することになります。「仕方がない」を自己責任として「引き受け」ることが道徳的に正しいとしても、そのすべてを「引き受け」ていたのでは身が持たない。では、どうすればよいか?

そこは社会がその豊かさでもって、〈私〉が「引き受け」られなかったことを容認しなければなりません。そうしなければ〈私〉は“仕方なく”「引き受け」を止めてしまうことになるでしょう。それは社会を貧しくしてゆく道となります。

このことも勘案に入れると、仲間外れのない社会を創るには

仲間外れにすることを「引き受け」られないことを「容認」すること

ということになります。こうすることで〈私〉は〈生命力〉を十全に発揮でき、結果として社会は豊かになる。

なお、ここでいう「社会の豊かさ」とは物質的な豊かさを意味していないことは明らかです。「社会の豊かさ」とは〈私=個人〉が〈生命力〉を発揮できる環境のこと。そして、個人の〈生命力〉の総体としての「社会の豊かさ」が「仕方がない」ことを「仕方なくない」ことへと変えていくのです。

コメント

ソフトランディング

資本はソフトランディングを望んでいないでしょう。
定期的な危機は、定期的な紛争と同じように感じています。
カジノ資本は安定していてはうま味が少ない、そのための政府発金融危機のような気がします。
お金持ちは大損しますが、危機でも、巨大資本は更に太っている気がします。
会社の生存もそのための道具、手段に過ぎないのでしょう。
資本は大企業も食いつぶしたら捨てるのでしょう。
新生銀行のように・・・
エントリーと無関係ですが、わこさんのところに書くのも気が引けましたので。

毎日、サンデル教授の授業受けています。
哲学は永遠に生きているのですね。
最近、防衛費も研究開発費を兼ねて、日本社会に貢献できるのでは?と考えてもいます。

scottiさん

わざわざこちらへお越しくださいまして、ありがとうございます。

>わこさんのところに書くのも気が引けましたので。

なるほど、しっかりとしたバランス感覚をお持ちのようですね。感服いたします。

資本はソフトランディングを望んでいないでしょう。

scottiさんもそうお感じになりますか。

“資本が~”などというと、どこかに親玉が潜んでいて陰謀を巡らしているみたいですが(笑)。 が、たぶん、そうではなくて、人の欲望が無主物の資本をまるで貪欲な生き物のようにしてしまっているのでしょうね。

最近、防衛費も研究開発費を兼ねて、日本社会に貢献できるのでは?と考えてもいます。

これはどういうことでしょう? もしよろしければ、少し詳しく聞かせてください。

横から失礼

初めまして。「知る」と「識る」の記事から読ませて頂きました。

性急ですが本題。
1週間以上の事に今更感たっぷりですが放置気味のようなので余計なお節介かもしれませんが…。
>>最近、防衛費も研究開発費を兼ねて、日本社会に貢献できるのでは?と考えてもいます。
ですけど、推測ですが科学技術が軍事技術の応用という意味ではないかと。
宇宙に旅立つロケット。人を乗せたり衛星を打ち上げたりする大変素晴らしい技術です。が、衛星を爆弾に変えたらミサイルになってしまいます。他にも人の命を救う技術が人の命を奪うことにもなりえます。その逆もまた然り。
要は、防衛目的として開発研究した結果が社会に貢献できる技術となるのではないかということじゃないかと思います。

以上、ご理解なさった事で余計な事かもしれませんが補足させていただきました。
それとこの場を借りて、「知」「識」の記事もですが共感出来る内容で、素晴らしいと感じました。
皆に強制できる事では無いですが、皆が少しでも愚樵さんの考えに近い考えを持ってくれれば日本の未来は明るいんじゃないかと感じました。

キツネさん、ようこそ

初めまして。「知る」と「識る」の記事から読ませて頂きました。

それはそれは。光栄です。ありがとうございます。

推測ですが科学技術が軍事技術の応用という意味ではないかと。

はい。その推測は大変説得力がありますね。「はやぶさ」が無事帰還したというニュースに接した後では特に。

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