愚慫空論

貨幣の摩耗と腐敗

「静かなる革命2009」(旧名「エクソダス2005《脱米救国》国民運動」)というブログを運営しておられる馬場英治さんという方が、一般取引税という税を提唱されています。

一般取引税を導入すると消費税を廃止できるばかりか他の所得税や法人税などの税も廃止しでき、税を一般取引税一本に集約して、簡素かつ公平な税制が実現できる可能性があるといいます。大変に画期的な提案だと思います。

その詳細はリンク先を見ていただくとして、一般取引税の特徴を一言でいってしまうと、「通貨の移転」に一定の税率を乗じて課税しようというもの。ごくシンプルなものです。

(「通貨の移転」とは、私たちが買い物をして通貨を支払う取引、逆にモノやサービスを提供して通貨を受け取る取引、これらの商取引で行われる通貨の受け渡しに着目して、通貨が受け渡されて所有者が替わることです。)

一般取引税はそのシンプルさゆえに、自然界でごく普通に観察されるある現象を連想させます。すなわち「摩耗」です。モノ同士が接触して擦りあわされるときに、モノがすり減っていく現象が「摩耗」ですが、一般取引税は、私たちが日常行う商取引をモノ同士の接触と擦りあわせに例えれば、一般取引税として徴収される税金は、「モノのすり減り」にあたることになるでしょう。

連想を続けます。

「摩耗」と同様に、自然界でごく普通に観察される現象にはもうひとつ、「腐敗」があります。そして、一般取引税が貨幣における「摩耗」だとするならば、貨幣における「腐敗」にも考えが向くことになる。すなわち減価する貨幣です。

ただ、減価貨幣と一般取引税とでは、大きく違うところがあります。それは、減価貨幣は「腐敗」が貨幣の性質として付加されていますが、一般取引税はそうではなく、「摩耗」の性質がビルトインされていない貨幣から権力が税という形で摩耗分を徴収するという形をとります。「摩耗」や「腐敗」といった自然現象に類した性質を貨幣に付加するか、それとも「摩耗」や「腐敗」と同様の効果を権力が課すのか。この違いです。

このように考えてくれば、「腐敗」する貨幣に類した「摩耗」する貨幣も構想することができるでしょう。「腐敗」する貨幣も「摩耗」する貨幣も、どちらも減価する貨幣です。そしてさらに連想を進めていけば、一般取引税によって構築される経済は、「摩耗」する減価通貨による自然主義経済になるのかもしれません。

(「腐敗」する貨幣の効果を権力によって実現しようとすれば、一般資産税という形が考えられます。一般資産税による経済もまた、自然主義経済なのかもしれません。)

************************************

私が今抱えている問題意識はここにあります。貨幣に自然現象に類した性質を付加するか、それとも同様の効果を権力によって実現させるか。経済現象として表れる効果は表面上同じでも、その現象を引き起こす文化的精神的な背景は大きく違うのではないのか。私たちが現在直面している社会のさまざまな矛盾の根源は、表面的な現象の背後にある文化的精神的な背景の部分にあるのではないか。

貨幣を自然現象の形に近づけることは、いうなれば「二項同体」です。対して、同じ現象でも、それを権力によって実現するやり方は「二項対立」、すなわち近代合理精神に基づく方法論です。

自然主義経済という名に相応しいのは「二項同体」であるような気がします。

コメント

おひさしぶりです

>私達が現在直面している社会のさまざまな矛盾の根源は、表面的な現象の背後にある精神的文化的背景の部分にある

と、わたしも感じています。
なぜ、アフリカや中東では紛争が、虐殺が、自爆テロが止まないのか?
なぜ、ウォール街発の金融資本主義が、アメリカではあれほど凶暴に野放図に膨張するのか?
なぜ、日本のテレビに出演する外国人は、偉そうに言いたい放題言えるのか?(アメリカや中国やロシアでそのような外国人の傲慢な態度が許されるか?)
なぜ、小学校の生徒会長(所信表明中の鳩山首相)と生徒達(居眠り議員たち)といった様相の牧歌的な国会が、このクニでは成立しえるのか?
なぜ、沖縄では自然(青い海とか白い砂浜)を自慢しながら、お国の事業である辺野古(基地予定地)以外では、埋め立て放題になり、ホテルの人工ビーチや観光地のビーチを除いては、海岸は汚し放題、反対運動が(泡瀬←これもクニの事業)以外は皆無なのはなぜか?

それらの現象の背後には、それぞれ独特の精神的文化的歴史的背景を強く感じます。
愚樵さんの言いたいこととは、直接つながらないかもしれないけど、ね。

naokoさん

おひさしぶりです。

>愚樵さんの言いたいこととは、直接つながらないかもしれないけど、ね。

そうですね。このエントリーでは直接つながらないのかもしれませんが、根っこではつながっていると思います。で、この「根っこ」のところが、私とnaokoさんとが共有している問題意識なんでしょうね、きっと。

それにしても、です。この「根っこ」を語り合うのには、言葉って本当に物足りない道具です。語るほどに、語りたいと思うことと違っていってしまいます。イヤになってしまいます(苦笑)

引用させて頂きました

たいへん面白い記事でしたので、引用させていただきました。こちらの勝手な連想を加えてありますが、TBしておきます。

御無沙汰です

御無沙汰しています。
志村さんの所の記事を紹介していたらこちらが元でした。
リンク先のみ紹介させて頂きました。
今後とも宜しくお願いします。
リンク先を入れてコメントを書くと「書き込み制限を受けています」と出ます。
トラックバックは相変わらず送れません。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://gushou.blog51.fc2.com/tb.php/309-fc18dabd

『攻撃やめて』伊情報機関がタリバン買収工作

イタリア軍がタリバンを買収?そのせいで仏兵士が死亡と英タイム紙 【12009年10月16日 AFP】英紙タイムズ(Times)が15日、アフガニスタンに駐留するイタリア軍への攻撃を避けるため、イタリア情報機関がイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)に数万ドルの「わいろ」

静かなる革命パンフレット【第一弾】税制を変えれば政治が変わる:一般取引税を導入して夢のジパングへ

静かなる革命2009シリーズが24ページのパンフになりました. かなり加筆しています.ぜひ一度通してお読みください. タイトルをクリックするとジャンプ(ダウンロード)します(PDF624KB). 筆者への断りなき引用・転載・配布を歓迎します.(馬場英治...

お金を自然物に近づける

 少し前の愚樵さんのところに「貨幣の摩耗と腐敗」という面白い記事が出ていました。きっかけになったのは馬場英治さ...

みかみかりんご♪さんから頂いた難問―金融取引への課税について

みかみかりんごさんから頂いたコメントにレスを付けていたが,長くなったので1本エントリを立てることにした. 前半部を書いているときにはまだ質問の趣旨をよく把握していなかったため,多少的外れなところがあるかもしれない.後半部では,質問の趣旨を「全銀ネット...

 | HOME | 

 
プロフィール

愚慫

Author:愚慫
“愚樵”改め“愚慫”と名乗ることにしました。

「空論」は相変わらずです (^_^)

      

最近の記事+コメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

QRコード
QRコード