愚慫空論

9条が再び国民に選択される日

アメリカの大統領選挙は民主党オバマが勝利した、と伝えられた。

これは凄いことだと思う。私はアメリカという国を肌で感じたことはない。それでも、たとえ本などから得た知識であっても、アメリカのことを少し知っていれば、肌の色の黒い者が国のトップになることが、どれほど凄いことなのか、想像はつく。「アメリカの民主主義の底力だ」と評する向きもあって、その真価が問われるのはこれからだろうと言いたい気持ちはあるが、まあ、でも、今だけは素直に私も喜びたい。

それにしても、伝えられているアメリカ国民の表情は嬉しそうだ。うらやましいと思うくらい。もちろん、陰では、この結果を喜んでいない者も多数いるだろう。選挙結果はオバマ大勝利だけれども、これは小選挙区効果のようなもので、得票率ではさほど差はなかったとも聞く。やはりブラッドリー効果は出たらしい。そういう意味でも「アメリカの民主主義の真価」はこれから問われると思うし、前途多難だろうとけれども、それでも、変革の第一歩を踏み出したことは間違いない。


アメリカ大統領選挙にこうした感想を持ちながら、日本でこの選挙に比肩するような出来事が起こるとしたら、どういったことが相当するだろうと考えた。

日本でも民主党が政権奪取を目指して動いている。私もそれに期待している。が、民主党が衆院選で勝利し、小沢一郎内閣総理大臣が誕生したとしても、たぶん、アメリカ人のようには喜べないだろうと思う。黒人たちの喜びようとは、比較になるまい。「日本の民主主義の底力だ」といって胸を張れるようには感じられない。

そこはやはり、「9条が再び国民に選択される日」だ。前途多難なのも同じ。選択したら、オバマではないが「私たちにはできる」と自分自身に言い聞かせて、困難な道を前へ進むしかないだろう。それはわかっていても、「その選択」をしたいものだと心から思う。喜びと希望は、明日への行動力となる。それらを欲しいと思うし、それらを手にしたアメリカ国民をうらやましく思う。


(日本国民は、まだ一度も憲法を選択していないだろう、という突っ込みはあるだろうけど、それは勘弁して欲しい。)

コメント

9条は残すべき

9条は、「国際貢献」を断る格好の口実になります。それに、単純に結果としてですが、戦争肯定に対して一定の抑止力になっているのは事実です。

要は敵の大量殺傷をしなければよいわけですから、シーレーン防衛は9条とは別に可能です。できれば2項を少しだけ換えて、侵略や他国との戦争を禁じればよいのかと思います。大多数の日本人は、社民党信者のような「自衛隊すら不要」という考えではなく、単に殺す殺されるが嫌なだけです。それに合わせた平和主義がベストです。

>民主党が衆院選で勝利し、小沢一郎内閣総理大臣が誕生したとしても、たぶん、アメリカ人のようには喜べないだろうと思う。

この理由は簡単です。
アメリカ人が行った選択は正しく、愚樵さんが求めているのは「誤り」だからです。プロセスが民主的だろうが何だろうが、『国民は9条を選択してはいけない』のであって、「目指してはいけないものを目指している」時点で、喜びなど沸き起こりません。

自衛隊でなければ対処できないもの、自衛隊でなければリスクを回避できないもの、そういうことができるように憲法を改正し、その上で必要な国際貢献をする。
こういうことを言えば、「戦争で解決しない」「自衛隊は戦争を惹起する」という短絡的な思考が出てくるが、そういう誤った感情がある限りは、「日本の民主主義の底力だ」といって胸を張れるようには感じられないわけだが、私のような意見が「間違い」とされ、私を批判する人たちの意見が「正しい」とされるようでは、永久に日本は「情けない外交」を展開しつづけ、愚樵さんが歯がゆい思いをしつづけることは確実である。

いい加減に「9条信仰」を、今現在は、日本人は全員捨て去り、「現実的かつ根拠が明白なロードマップ」を作り、当面は9条を改正して軍事的貢献も選択肢として実行することこそが、9条の理想を実現できる唯一の、そして確実な方法です。
これを否定する論は、現在の国際社会には存在しません。

ユートピアへの投資

ろろさん

>9条は残すべき

おお。ろろさんも護憲派でしたか! って、あまり勝手に盛り上がってはいけませんね。

>できれば2項を少しだけ換えて、

あまり大きな声では言えませんが、私もそれはアリかと思っています。“9条を選び直す”ときに、まったく同じ条文である必要はないわけで。3項を加えるというのも良いでしょうし。“選び直す”意義が明確になる形が望ましいですね。

*****

わくわくさん

以前にもいったことがありますが、私はユートピアを求める人間なんです。9条は、そのユートピアへの投資のようなもの。現在の状況から見て正しいとか誤っているとかの問題ではない。望ましいか、望ましくないかという問題なんです。

オバマだって、私は同じように捉えています。オバマが唱えた「CHANGE!」は正しい正しくないの選択を求めたものではなかったはず。望ましいか、望ましくないか。そういう選択。

その選択は誤っているのかもしれませんがね。望ましいものを正しいものとできるのか、ここにアメリカ民主主義の真価が問われることになるのでしょう。

どうだろうか・・・。

「正しいか正しくないか」とは、「望ましいか望ましくないか」ということとリンクしていると思います。
なぜなら、最終目標こそが「望み」なのであって、その「望み」に向かってどうするのか、ということを問うからです。

ユートピアそのものは、私は求めていませんし、非現実的だと思いますが、それはさておき、「かつてユートピアを求めていた人が、その人たちから『好戦主義』『ネオコン』などと非難されていた私よりも、『好戦主義』『ネオコン』になってしまっている」という状態を、私は最も怖れています。なぜなら、こういう状態ほど、抑制が利かないで、それこそ一気に「いつか来た道」に走り出すからです。

ちなみに、オバマの出身母体は民主党ですが、第二次世界大戦の参戦やベトナム戦争は民主党の大統領のときに始まり、湾岸戦争からイラク戦争までの期間内に唯一行われたイラク空爆とソマリアの失敗は、クリントン政権のときです。北朝鮮への武力攻撃の可能性が最も高かったのも、実はクリントンのときです。
米ソの「雪解け」や東西冷戦の終結は、アイゼンハワーとレーガン、すなわち、共和党政権のときです。

ブッシュJrのイメージが強く、そして「イラクからの撤退」を唱えているので、一見、オバマ政権の方が平和的だと誤解されることがありますが、オバマは、イラク縮小は唱えていますが、アフガンは増派ですし、日本の自衛隊派遣をさらに求めてくる可能性が、マケインよりも、むしろ高いことは踏まえておくべきだと思いますね。

保守と革新の差

>「正しいか正しくないか」とは、「望ましいか望ましくないか」ということとリンクしていると思います。

それはそうです。これは私の書き方が杜撰でした。「正しい正しくない」は現状に立脚しての判断、「望ましい望ましくないか」は現状を変革した後の想像図に基づく判断、とでも言えばいいでしょうか。このあたり、保守と革新のメンタリティーの差なのだろうと思います。

>「かつてユートピアを求めていた人が、その人たちから『好戦主義』『ネオコン』などと非難されていた私よりも、『好戦主義』『ネオコン』になってしまっている」

具体的な状況がちょっと思い浮かばないのですが、そういう危険はあるでしょうね。革新派はどうしても理想を重視する傾向がありますから、現実から乖離して暴走する危険は高いといえるでしょう。

>一見、オバマ政権の方が平和的だと誤解されることがありますが

希望的観測を現実の区別がつかなければそうなりますね。けれど、アメリカはアメリカ。オバマが変革のきっかけになっても、それがすぐに現れるわけではない。長い目で見ることが必要でしょうし、オバマもそのことを意識していると思います。オバマが就任演説で言った「一期では足らないかも」という言葉は、金融危機だけのことを指して言ったのではないと思ってます。

イデオロギーじゃなくて

>>「かつてユートピアを求めていた人が、その人たちから『好戦主義』『ネオコン』などと非難されていた私よりも、『好戦主義』『ネオコン』になってしまっている」

>具体的な状況がちょっと思い浮かばないのですが、そういう危険はあるでしょうね。革新派はどうしても理想を重視する傾向がありますから、現実から乖離して暴走する危険は高いといえるでしょう。

いえ、その程度ならばまだいいんです。
それよりも恐ろしいのは「反動」。ユートピアを求める人ほど、理想や期待が大きいだけに、失望の度合が劇的に高く、予想を超えた反動が起こるのみならず、「説得不能」なところまで発展するわけです。

私は「アフガンに陸上自衛隊を派遣しろ」という主張をしていますが、再三言っていますが、私が想定しているのは、医療活動や給水、食糧などの人道支援、衛生や学校、政府機能(治安)へのアドバイザーなどへの『護衛』であって、「積極的に武力攻撃をしろ」というのではありません。もちろん、現地政府や国連、赤十字との連携の上で、の話です。
自衛隊を必ず派遣しないといけない、というものではなくて、襲撃してくる武装勢力の装備が軍事兵器である以上、それに対抗しうる実力は自衛隊しか持っていないから自衛隊の派遣を主張しているのであって、武装勢力の武装解除が行われて警察力だけで治安が維持できる状態になれば、自衛隊は「いらない」のですから、撤退です。だからといって、人道支援や民生協力まで停止することはないわけで、これらは継続していくべきだ、ということも主張しています。

しかし、こうした主張であっても、東西南北のように「わくわくは、人殺しの軍隊を送れ、海外で人殺しをさせる気だ」という思考と感情を抱く人はいます。
こういう人こそが、「軍事組織による護衛がない状態で、援助物資が略奪強奪され、民間スタッフが難民と一緒に襲撃されて虐殺された」となると、一気に「日本人は全員撤退しろ」という無責任な思考や、「粘り強くいけ」という実現不能な感情、さらには「武装勢力を殲滅してしまえ」という「行きつくところまで行ったか」という主張が起こってしまう。そして、それらは衝撃が強いだけに、もはや「聞く耳持たず」です。

私は、常に理想と現実の乖離をにらんで、思考と感情を正しく抱いています。それゆえに、同じ自衛隊派遣賛成論に対しても、積極的に攻撃を仕掛けるかのような主張については、これを完全否定する。
ユートピアは「追い求める」ものではありません。

今晩は、愚樵さん。わくわくさんの仰る『医療護衛』、これってかつてベトナム戦争で、韓国が気安く引き受けて[経済援助が欲しくて]、泥沼にはまった歴史がありますから、なかなか難しいでしょうね。
http://blogs.dion.ne.jp/ivanat/archives/6339179.html
まずタリバンとの和平交渉がかなり固まらないと。
カルザイ大統領がオマル氏の身の安全を西側に保障して欲しいと不退転の声明を出しているのに、日本ではあまり報じられていませんね。ネット上では、毎日新聞のでしかみつけられませんでした。給油法にも大きく関連するニュースなのに・・。
「11月16日
アフガン大統領:オマル師らの安全保証…政府と和解条件に
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20081117k0000m030067000c.html 」

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