愚慫空論

信頼が信用に解体される(2)

前置きはなしで、図を見ていただきたい。

『開運! なんでも鑑定団』のなかで行われる「鑑定」という行為の構図。

信頼と信用

まず、依頼人が鑑定依頼品を持って番組に登場。この時点では、成立している依頼品と依頼人および視聴者との関係は、依頼人と依頼品との間の「信頼」だけである(普通、「信頼」とか「信用」とかいった関係は、人間同士かそれに準ずる関係の間に成立するものと考えられるが、ここでは人間とモノとの関係にも拡張して用いる)。依頼人は依頼品の価値を非限定的に認めている(円の前面にアミ掛けされているのは、非限定的の意味)が、視聴者はその価値を認識することができない。番組ではよく依頼人が依頼品についてのエピソードが語られるが、この目的は、エピソードを語ることで視聴者にも依頼人が持つ依頼品への思い入れを共有してもらって価値を見出してもらうためではなくて、依頼人と依頼品との主観的な価値関係を強調することで、視聴者と依頼品との間にはなんらの価値関係が成立していないことを確認することにある。視聴者は価値関係が成立しないことを強調されることで、依頼品の価値を知りたいという関心が高まる。

そうやって依頼品への関心を高めたところで鑑定人による「鑑定」が行われる。この「鑑定」という行為には、依頼人が依頼品へ持つ、主観的な価値は全く考慮されない。依頼品の市場価値、依頼品が持つ価値を数値として表現できる一部分に限定して提示するのが「鑑定」の主目的だ。依頼品が骨董や美術品などの場合はその真贋も「鑑定」されるが、真贋の判定は金銭的価格を左右する重要な要素であるから判定されるだけのことだ。

こうして、依頼人の「信頼」は、「信用」に解体される。「信頼」は、依頼品との間にさまざまな歴史をもつ依頼人だけが持つことが出来る関係だが、それが「信用」に解体されることで視聴者も共有することが可能となる。『開運! なんでも鑑定団』の面白さは、信頼の解体によって視聴者が価値が共有できるところにある。


コメント

丸明の牛肉っぽいね

お久しぶりです。
「鑑定団」は、大昔、見てましたが最近みてません。愚礁さんが記事にしたので、偶然やっていた再放送をチラッと見てみました。出家した坊さんが出家以前に知人から100万で買い取った「湯のみ」が、500万と鑑定されて喜んでいるのをみて笑えました。
司会の島田に「出家した坊さんがそないに喜ばんでも」と突っ込まれ、「人間だものあたりまえ」と答えているのにさらに爆笑。

信用の尺度が、「金」(市場価値)ってのが笑えます。(そういえば信用経済という言葉があるな(笑))
依頼人も視聴者も「市場価値」によってしか価値を見いだせない。ときに偽物と鑑定され激安の引導をわたされて「エピソードにより大切にします」という人もいるけど、明らかにガックリきている。
あの番組を「公開丸明」と命名しようと思います。
出演者も視聴者も「金」によって「旨い」か「拙い」かを感じる人々。

ちょっと「信頼」「信用」から離れちまったかな?

>信頼の解体によって視聴者が価値が共有できるところにある。

とどのつまり、共有できる価値基準が「金」だもんなぁ。なんだかね。

quine10さんや愚樵さんの言う所の「信頼」をその品物に寄せているならば、
「なぜ鑑定になど出すのだろう」
と私は思いますけれども。

ちなみに私は、中島誠之助さんに代表される鑑定人の鑑定を「信頼」していると言えましょう。

共有できる価値基準がお金…。

まさに、まさにです!
stoneflyさんが、「なんだかなあ」とおっしゃるこの価値基準の突出こそが、「信頼」を瓦解させるんですね。
「管仲とほう叔の交わり」じゃないけど、管仲がどれほど期待を裏切ろうと、「信用」度0であっても、変わらぬ熱い「信頼」を抱き続けたほう叔が存在しなかったら、そして桓公がほう叔を信頼しなかったなら、斉の覇業はなかった。
やはり「人間(お宝)」を見つめる‘まなざし’の質が向上しなけりゃ、お金には勝てませんね。

お元気ですか?

愚樵さん、こんにちは^^

>共有できる価値基準が「金」‥
これってまさに自公政権のキャッチフレーズ?^^;
カネは不変だから団結力も強固・・。
リベラルみたいに思想で分裂しない。
カネに勝つのはほんとに難しい・・・。

つい書きたくなったので失礼しました。(苦笑)

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