愚慫空論

ハラスメント(1)

ハラスメント【harassment】というと、まず思い浮かぶのは、セクハラ(性的嫌がらせ)。ついでパワハラ(権力を用いて行う嫌がらせ)。他にも、アカデミック・ハラスメント、ドクター・ハラスメント、アルコール・ハラスメント、スモーク・ハラスメント、ブラッドタイプ・ハラスメントと、いろいろ種類があるらしい。

ハラスメントをwikipediaで見てみると、
「ハラスメント」を「嫌がらせ」として
「特定、不特定多数を問わず相手に対し、意図的に不快にさせることや、実質的な損害を与えるなど強く嫌がられる、道徳心やモラルのない行為の一般的総称」
と出てくる。この記述をみると意図的であることがハラスメントの要件のように思えてしまうが、これは違うだろうと思う。意図的・無意識的を問わないだろうし、道徳心も関係ないと思う。「相手が嫌がるような、モラルのない行為の一般的総称」で十分だと思うが、ここでいう「モラル」は厳密に定義することができない性質のものなので、ハラスメントは理解しにくく、それゆえ様々なトラブルの元になる。

当エントリーのタイトルを「ハラスメント」としたが、嫌がらせの意味でのハラスメントとは違う。人と人とのコミュニケーションにおいて、創発が阻害された病的コミュニケーションをハラスメントと定義する。そう、当エントリーは6/26のエントリー『創発的コミュニケーション』の続編である。
(このハラスメントの定義も『生きるための経済学』から借用)


『創発的コミュニケーション』のエントリーでは、創発的理解の実例として、ハンマーとの「対話」が『生きるための経済学』から引用した。その『生きるための経済学』には、引用した部分の続きに、創発的理解を阻害する方法の具体例が示されている。それも借用してみると、

 この創発を阻害するには、この回路を切ってしまえばよい。たとえばあなたが振り上げたハンマーを私が強力な磁石で引き寄せたなら、あなたのハンマーの起動は歪んでしまい、上手く叩けなくなる。あるいは、モノとの「対話」に没頭するあなたに、

「おい、今日の昼メシの魚、うまかったな」

と話しかけると、あなたは気が散って失敗する。
 もっと効果的なのは、コーチをするフリをして、どうでもいいケチをつけることである。

「なんだ、その手の振り方は。そんなんじゃ効率的に叩けないぞ。ほら、うまく当たっていないじゃないか。それにその左手。ちゃんとハンマーがあたらないように控えめに押さえないと。ほーらみろ、左手をぶっ叩いた。言わんこっちゃない」

これであなたの暗黙知の作動はメチャクチャになる。このような、物理的あるいはコミュニケーション的な回路の切断が、創発を阻害する。

創発的理解は、モノとの「対話」だけでなく、人との「対話」、すなわちコミュニケーションにも及ぶ。これを創発的コミュニケーションとしたわけだが、では創発的でないコミュニケーションとは、どういったものか? 

それは、コミュニケーションをしている片方、あるいは双方が「学習(相手に対する自分自身の認識を改める用意)」を停止したコミュニケーションである。「学習」を停止してしまうと、もはやコミュニケーションを行っている相手についての認識が改められることはないから、相手に投げかけるメッセージは、自分自身が勝手に作り上げた相手の像を相手とみなして、投げかけることになる。そして、その像からはみでる相手の姿を「間違い」とみなし、無視するか、攻撃するようになる。


それでは、ハラスメントとは? 

AとBとがコミュニケーションを行っているとする。

AはBからメッセージを受けて「学習」してBへの認識を改め、Bにメッセージを送る。
BはAからメッセージを受けて「学習」してAへの認識を改め、Aにメッセージを送る。

この、AB双方が「学習」するフィードバック回路が形成されている状態は創発的コミュニケーションである。

ここでBはこっそりと「学習」を停止する。そうなると

AはBからメッセージを受けて「学習」してBへの認識を改め、Bにメッセージを送る。
BはAからメッセージを受けても「学習」せず、Bが勝手に作り上げたAの像をもとにAへメッセージを送る。

という状態になる。こうなると、Aは創発を阻害されてしまう。AはもはやBへのメッセージをスムースに送ることが出来なくなる。

そしてさらに、BからAへ送られるメッセージがBが勝手に作り上げたAの像からはみ出すAの実相への攻撃的なものとなり、同時に「これは攻撃ではない」というメッセージも送られるようになると、Aは混乱に陥るようになる。このBのAへのコミュニケーションのあり方がハラスメントである。


(2)へ続く。

コメント

日本でのハラスメント概念はまったくのデタラメになってしまっています。
wikipediaも見てみましたが、デタラメに基いて書かれていますね。(wikipediaですからこんなものかも知れませんが)
私はこの件で、大物女性活動家のAOさんを問い詰めたことがあるのですが、彼女は正しい意味を知っており、「なぜこうなったのか自分は知らない」と答えていました。
しかし、どうもどこかの女性運動家の仕業ではないかと私は見ています。

で、本来の意味ですが、まず、「ハラス」というのは崖っぷちに立たされた状態を指します。
つまり、「針の山か血の池地獄かどっちにする?」みたいに不毛の選択を強いられる状態を指します。
ですから、「ハラスメント」を日本語訳すれば、「絶体絶命」とか「危機一髪」とかいうニュアンスになるかと思います。

基本的に「ハラスメント問題」というのは労働問題から来ています。
労働現場においては、同意したくないのに、同意せざるを得ない状況が発生します。つまり、「ハラスメント」なわけです。
それは本当の意味での同意ではないと法廷が認めたのです。
具体的ケースとしては、上司が人事をちらつかせて部下に性的関係を求めた場合、仮に同意したとしてもそれは同意ではないということです。
これが徐々に応用され、今では「働きやすい職場」に反する行為をすべて「ハラスメント」と規定するようになったわけです。
たとえば、エロ雑誌を男性社員が開いていると、女性社員はそれが不快でも職場だから視界に入らざるを得ない。これも「セクハラ」だとなったわけです。

同意したくないのに

同意せざるを得ない状況に追い込まれるというRunnerさんの言には、とても触発されるものがあります。
『時代・社会状況への同意』というのもあるし、
『会社・雇い主の方針への同意』というのもある。
『親や、逆らい難い有力者の意向への同意』とかも。
自由にたいする束縛ということなのかな、と思います。
社会状況的にはずいぶん自由になったけど、その分、『心や思考を縛る先入観』や『固定化した価値観』の弊害が、顕在化してきたのかも。
あまりに自由な社会状況における、感性の貧困な不自由な思考者たちの振る舞いが、コミュニケーションの疎外をうんでいるのだろうか?
そして、わたしはどうなのか?
おかしいのは、わたしの方なのか?
最近、実生活でも、あまりの通じなさに、『なぜ?』と悩ましいのです。

この行為もハラスメントかな?

こんにちは、初めまして。
確かはるか昔にお邪魔したような・・・。やっぱり初めてのような・・・?
すみません、記憶が曖昧です。

あらためて、ニケと申します。よろしくお願いいたします。
さて、自分としては、今日書いた私のエントリーが関連ありそうだと思ったのですが、全く関連が無いのかもしれません。(笑)

で、初めての訪問?でTBを送らせていただくのはまずいか?と一瞬躊躇もしたのですが、ま、そんなところで送っておきます。<(_ _)>

「創発を阻害する。」←これをしてしまっているのか?
まさか「混乱に陥る」ことは無いと思いますが。(自分中心で物事を考える私)^^;

いつも楽しみにROMしてます。
と、まあ月並みなことを書いて、今日は失礼いたします。
今後ともよろしくお願いします。では~~~^^

>naokoさん

昔は、女性は、「同意したじゃないか」と言われると、泣き寝入りするしかなかったわけです。

>『時代・社会状況への同意』というのもあるし、
>『会社・雇い主の方針への同意』というのもある。
>『親や、逆らい難い有力者の意向への同意』とかも。

もちろん、労働現場に限らず、いたるところに「ハラスメント」は存在するわけです。
たとえば、いわゆる学校における「いじめ」もこれに該当します。
どこかの公園に「いじめっ子」が常駐しているということなら、その公園に行かなければよいわけですが、学級が舞台とあっては、そういうわけにはいきません。
「被害に遭うか」「学校を休むか」の選択に迫られることになります。
つまり、これらは本来「スクールハラスメント」と呼ばれてもよいものです。

いったい、どういう経緯で意味がズレてしまったのかは推測の域を出ないわけですが、マスコミら権力側にとっては、日本で「働きやすい労働現場」運動なんかされたらたまらないし、しかも、彼ら自称「新自由主義者」が教本とする米国譲りというのも大いに困りものですから、これ幸いとデタラメを固めてやろうとするのは当然でしょう。

愚樵さん、失礼します。
TBを送らせていただいたのですが、どうも通ってないようなので、申し訳ありませんがURL貼らせてください。
よろしくお願いいたします。
http://chochonmage.blog21.fc2.com/blog-entry-13.html

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